お役立ちコラム
ネットワークエンジニアのキャリアパス10選!キャリアアップ方法も解説
ネットワークエンジニアのキャリアパスは大きくスペシャリストとゼネラリストの2つに分かれます。高度な専門性が求められ、学習には相応の時間と労力が必要です。
しかし、AIの進歩に代表されるように、それらの仕事が今後も安定して需要があるとは限りません。せっかく時間を使うなら、無駄にならないように計画を立てる必要があります。
ここではキャリアパスを描く重要性をはじめ、具体的なキャリアの選択肢やキャリアアップ・キャリアチェンジの方法について解説していきます。
■ 監修者:鐘ヶ江直志
エンジニア歴10年。通信業界を中心にオンプレミス・クラウド領域におけるインフラ・サーバー・セキュリティ設計構築等に従事。
また、ライターとしてエンジニア学習サービスの講座・教材製作や電子書籍出版など様々なプロジェクトに携わる。
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目次
ネットワークエンジニアの仕事内容
ネットワークエンジニアとは、ネットワークの設計、構築、運用、保守などを担当する専門職です。
組織やプロジェクトの要件に沿ったネットワークの構成を考えたり、使用機器の選定・設置・設定・動作確認などを行います。また、故障などの障害対応やシステム更新に伴う設定変更など、ネットワークが円滑に動作し続けるための運用・保守も重要な業務です。
ネットワークエンジニアに将来性はあるか
ネットワークエンジニアの将来性を考えるとき、技術革新による大きな変化や国内の実質賃金減少傾向など、後ろ向きな材料が多く出てくることは事実です。
しかし、ネットワークエンジニアのスキル自体に将来性がないということはありません。インターネットは社会インフラであるため、ネットワークエンジニアの需要がなくなることはないと考えられます。
総務省の調査によれば、モバイル端末の普及率は97%を超え、そのうちスマートフォンは88.6%を占めます。また、インターネットの通信量(トラヒック)は2019年から2023年で倍以上に増加しています。これらのデータは、現代におけるネットワークインフラの重要性を示しています。
また、5Gのエリア拡大など、さらなる技術発展も期待されている分野です。総務省では現在拡大中の5Gをさらに発展させた6Gへの投資も視野に入れており、政府資料としてそのロードマップが公表されています。
今後もこうした動きは強化され、より安定・安全な通信インフラ提供のため、優秀なネットワークエンジニアの存在が求められるでしょう。
※参考:
第2部 情報通信分野の現状と課題|総務省
我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計結果(2023年5月分)|総務省
Beyond 5G 推進戦略-6G へのロードマップ|総務省
ネットワークエンジニアにとってキャリアパスが重要な3つの理由
ネットワークエンジニアがキャリアパスを考えていかなければならない理由を3つご紹介いたします。
1.技術の進歩に対応し続けるため
技術は日進月歩であり様々なプラットフォーム・フレームが出ては消えていきます。現状維持のネットワークエンジニアのままでは、こうした大きな流れに取り残されてしまうでしょう。
例えば近年の大きな変化の1つに、国策によるDX推進が挙げられます。クラウドプラットフォームの拡充により、オンプレミスからクラウドへの移行に合わせて既存の仕組みや手続きをオンライン上で完結できるようにしなければなりません。
また、これに付随してサイバーセキュリティの重要性も増しています。このように、ITに関わる仕事はダイナミックに変化していきます。ネットワークエンジニアという職域だけにこだわらず、インフラやクラウドなど、様々なスキルに目を向けましょう。
どのような専門性を身に着けるか、自身に合ったものを取捨選択していく戦略が必要なのです。
2.終身雇用制が見直されているため
日本では長年、終身雇用制を採用してきましたが、徐々に見直されていることも、キャリアパスを考えなければならない理由の1つです。
例えば2016年時点で、若年期から1つの企業に勤め続ける「生え抜き社員」の割合は、大卒社員の5割程度となっています。2000年では6割超だったことを考えると、16年でそれだけ転職が当たり前になってきたということがわかります。
経済産業省の統計からも見えるとおり、基本的にITエンジニアの給与は、作業レイヤーほど低く、経営に近いほど高くなる傾向にあります。終身雇用だからといって現状維持に甘んじていれば、より若く体力のある労働力に取って代わられてしまう恐れがあります。
※参考:
我が国の構造問題・雇用慣行等について|厚生労働省職業安定局
IT関連産業の給与等に関する実態調査結果(平成29年8月21日経済産業省)
3.ライフプランを実現するため
失われた30年という言葉に代表されるとおり、今日本人の暮らしは年々貧しくなってきています。これは政府の統計にも表れており、1991年を100としたときの2020年の実質賃金は、アメリカが146と1.5倍の豊かさを手に入れたのに対して、日本は103.1とほぼ横ばいになっています。
また、直近の2023年12月では21カ月連続マイナスとなっており、横這いから下方へとトレンドが変化しているのです。キャリアパスを描き成長していく計画を立てなければ、こうしたトレンドに巻き込まれ経済的な悩みを抱えることとなってしまうでしょう。
※参考:
第2-1-5図 一人当たり名目賃金・実質賃金の推移|内閣府
12月実質賃金21カ月連続マイナス、通年も2年連続減=毎月勤労統計|ロイター通信
以上のことより、キャリア設計が重要な時代だと言えます。特に昨今はキャリアの選択肢として、正社員だけでなくフリーランスという選択肢も増えました。もしもフリーランスに興味がある場合は、cyseekのようなエージェントサービスをおすすめします。cyseekはセキュリティ特化のエージェントとなっており、ネットワークエンジニアとしての今後のキャリアの相談も行えます。まずはカジュアル面談でお気軽にご相談ください。(カジュアル面談の内容はこちら)
【スペシャリスト】ネットワークエンジニアのキャリアパス4選
キャリアパスとは、目標となるポジションややりたい仕事などにたどり着くまでの道筋を指します。ネットワークエンジニアのキャリアパスは、大きく分けてスペシャリストとゼネラリストの2通りに分けられます。また、そのなかでもいくつかの職種があり、各職種ごとに期待されるスキルや役割は異なってきます。
以下では高い技術力を持つその道のスペシャリストのキャリアを進んでいくという選択肢として、職種を4つ解説します。
ネットワークスペシャリスト
ネットワークエンジニアの中でもより高度な知識・スキルを持つ人材です。
例えば、特定のベンダー製品や業界について豊富な知識と経験を持つなど第一人者として認知され、指名を受けるようになればスペシャリストと言えるでしょう。
また、同名の国家資格が存在するため、資格の取得者を指すこともあります。
仕事内容
ネットワーク管理者として、技術選定や仕様作成、外部の関連企業を用いた構築・運用の指揮など幅広い業務を担当します。
求められるスキル
ネットワークスペシャリストは職種というよりも肩書に近いです。同名の国家資格を保有していたり、特定のベンダーや業界におけるネットワーク設計に精通するなど深い知識や経験を有していれば、スペシャリストとして認知してもらえます。
平均年収
経済産業省の調査によれば、ネットワークスペシャリストを含むIT技術者スペシャリストの平均年収は758.2万円となっています。
※参考:IT関連産業の給与等に関する実態調査結果(平成29年8月21日経済産業省)
クラウドエンジニア
インフラエンジニアの一種ですが、AWSやMicrosoft Azureなどのクラウドプラットフォームを利用したITインフラを扱うのが特徴です。
仕事内容
クラウドエンジニアはAWSやMicrosoft Azureなどのクラウドプラットフォームの環境設計・構築・保守・運用を行います。ネットワークエンジニアとしてのスキルを応用できることに加え、DX推進などの国策により、今後クラウドエンジニアの需要が高まっていくことが期待されています。現地での実機操作や配線の管理などをしなくてよいので、リモートワークに向いているのも特徴です。
求められるスキル
ネットワークエンジニアとしての基礎に加え、最低でも1つ以上のクラウドプラットフォーム上でインフラの設計・構築が可能な知識やスキルが求められます。AWS・GCP・Azueなどクラウドサービスの認証資格や実務経験の需要は高いです。
平均年収
求人ボックスの求人統計データによると、正社員のクラウドエンジニアの年収は581万円です。
※参考:クラウドエンジニアの仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)|求人ボックス
セキュリティエンジニア
インフラエンジニアの一種で、セキュリティの専門的な技術やスキルを持ち、システムやデータの保護を始めとするセキュリティの実装を担当する専門職です。
2015年から2022年にかけてサイバー攻撃関連の通信数は8.3倍となっているなど、近年はサイバー攻撃などセキュリティリスクが増大しており、セキュリティエンジニアの需要は高まっています。
特に現代はセキュリティの脅威が増加傾向にあり、今最も求められるエンジニアのうちの1つです。
仕事内容
セキュリティエンジニアは外部の悪意ある攻撃から、企業のシステムやデータを守るエンジニアです。ネットワークの安全性を確保しセキュリティを向上していくだけでなく、社内統制を含めた情報システムの脆弱性を改善し、外部の攻撃から保護するのが主な仕事です。
上場を目指すようなベンチャー企業の場合、社内統制の一環として情報セキュリティの仕組みづくりが求められることがあります。
他にも、下流工程での実装・デバッグ・テストも行います。ネットワーク・サーバー・OS等の各種レイヤーで作業を行う必要があるので、その他のエンジニアに協力を仰ぐ場面も出てくるでしょう。例えば、情シスと連携してキッティング作業をする場合、アクセス権設定や暗号・認証等を行います。
求められるスキル
インフラやITに関する全般的な知識が必要です。さらに、要件を満たすシステムを選定・導入するための自社やクライアントのビジネスを理解する力も求められます。
また下流工程から担当する場合、実装作業の習熟も必要です。例えば機器のマウンティングやコンフィング設定など効率的にすすめられる実務能力を鍛えるとよいでしょう。
平均年収
求人ボックスの求人統計によれば、正社員の平均年収は543万円です。また、経済産業省の調査によれば、セキュリティ人材のスペシャリストにキャリアアップできれば、758.2万円まで引き上げることができます。
※参考:
セキュリティエンジニアの仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)]求人ボックス
IT関連産業の給与等に関する実態調査結果(平成29年8月21日経済産業省)
テクニカルサポート
特定の製品やサービスについての専門知識を持ち、顧客の問い合わせに応じてトラブル対応などのサポートを提供する職種です。
仕事内容
「使用方法が分からない」「想定外のエラーが出て困っている」など、ユーザーからの様々な問い合わせに対応します。適切なヒアリングで原因の特定に必要な情報を引き出し、口頭の指示やリモート操作によって解決に導きます。
求められるスキル
取り扱う製品やサービスを熟知することはもちろん、顧客と直接やり取りを行うので、適切なヒアリング・状況把握・説明・指示などのコミュニケーション能力も重要です。
平均年収
大手転職サイトDODAによれば、正社員としての年収は420万円からとなっています。掲載されている求人によれば、5年目になると900万円まで上がる企業もあります。
※参考:テクニカルサポート・カスタマーサポート(IT製品)、年収600万円~ の転職・求人検索結果|DODA
【ゼネラリスト】ネットワークエンジニアのキャリアパス6選
ゼネラリストのキャリアパスは、案件全体のプロジェクトマネジメントやチームの管理といった上流工程の仕事を担うキャリアが多いです。
以下では職種を6つ解説します。
ITアーキテクト
ITアーキテクトはシステム・環境の設計や運用・保守を行う専門職です。アーキテクト(建築士)の名の通り、経営戦略を踏まえた運用基盤の設計を行います。
社内においては情シスのマネージャーへのキャリアアップ、外部への独立やコンサルタントへのキャリアチェンジ等も考えられます。
仕事内容
ゼネラリストとして様々なITの基盤を設計します。具体的にはフレキシブルに動かせるインフラの設計やシステムの連携・統合の構造設計、各システムの機能要件といった内部設計です。利用者が快適に仕事ができるように各所と調整したり、現場のリーダー的ポジションとしての役割も期待されます。
求められるスキル
ハードウェア・ソフトウェアに精通し、DXやシステムの入れ替えなどの各工程におけるリスクや作業内容を把握できる知識と技術が求められます。また、経営戦略を踏まえた基盤の設計のためのビジネス力も必要です。
平均年収
経済産業省の調査によれば、ITアーキテクトを含む高度ITエンジニアの年収は778.2万円です。
※参考:IT関連産業の給与等に関する実態調査結果(平成29年8月21日経済産業省)
インフラエンジニア
インフラエンジニアは、ITインフラに関わる技術者の総称です。ITの専門家として社内でのキャリアアップを狙ったり、ITコンサルタントへのキャリアチェンジも検討できます。
仕事内容
インフラエンジニアの仕事は大きく上流と下流の工程に分かれます。一般的に経験が浅いメンバーが下流工程を担当し、経験を積んで上流工程に移っていきます。
上流工程では要件定義・設計・構築を行います。システムに求められる機能や仕様をヒアリングして洗い出し、設計に落とし込んでいきます。構築ではハードウェアの配置まで担当することもあります。
下流工程では構築したシステムの運用・保守を行います。システムが安定して稼働するか監視し、障害が発生したら迅速に対応しなければなりません。
求められるスキル
担当する業務によって求められるスキルは異なりますが、大きくハードウェア・ソフトウェアに関する深い専門性・要件の整理ができるアーキテクチャ力等が求められます。
また下流工程を担当する場合、システムは基本的に24時間365日稼働するものなので、それらの監視をするときは体力と注意力といったフィジカル面の才能も必要です。
平均年収
求人ボックスの統計によれば、インフラエンジニアの正社員の平均年収は520万円です。ただしその業務範囲によって前後する可能性もあります。例えば経産省の調査では、顧客向けIT保守などは592.2万円・運用管理であれば608.6万円となっています。
※参考:
インフラエンジニアの仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)|求人ボックス
IT関連産業の給与等に関する実態調査結果(平成29年8月21日経済産業省)
フルスタックエンジニア
要件定義から開発、保守・運用まで一気通貫で行うエンジニアです。フリーランスとして独立はもちろん、専門家が不在の企業ならCTOも狙えます。
仕事内容
フルスタックエンジニアは、フロントエンド(ユーザーインターフェース部分)からバックエンド(サーバーサイドの処理)、データベース管理、さらにはインフラストラクチャーの構築と管理に至るまで、アプリケーション開発に関わる幅広い領域を担当します。
仕事内容は案件により様々ですが、フリーランスとしてフルスタックエンジニアの案件を受託する場合、上記のすべてを一貫して担当する場合もあります。
求められるスキル
大前提として高度なプログラミングスキルは必須です。また、改善提案をするためのビジネススキルや、場合によってはクラウドへの見識も求められます。CTOを目指すならマネジメントスキルも必要です。
平均年収
フルスタックエンジニアの年収は、ITエンジニアを参照すると、正社員の場合は480万ほどとなるようです。
フリーランスになると案件により幅が大きくなります。720万前後から1000万以上まで簡単に見つけることができますが、要求されるスキル水準はかなり高いようです。
※参考:
ITエンジニアの仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)|求人ボックス
フルスタックエンジニア 求人・案件一覧|フリーランススタート
ITコンサルタント
ITコンサルタントは、企業や組織のビジネス課題を解決するための戦略やシステム導入の提案を行う職種です。コンサルティング会社でマネージャーを目指す・独立をするなどの選択肢があります。ベンチャーのCTOとしてスカウトされることもあるようです。
仕事内容
クライアントのビジネスを分析し、最適化するためのITソリューションを提案します。
また、ビジネスモデルの革新や、セキュリティ強化、コスト削減など幅広い提案を行い、プロジェクト管理やシステム導入後のフォローアップも含めたサポートを提供します。
求められるスキル
ITコンサルタントには、技術的な知識だけでなく、業務プロセスや経営戦略に関する深い理解も求められます。また、実際のプロジェクトを推進するためのアーキテクチャ設計・提案力と、現場を滞りなく稼働させるマネジメント力も求められます。
平均年収
経済産業省の調査によれば、ITコンサルタントの年収は928.5万円です。
※参考:IT関連産業の給与等に関する実態調査結果(平成29年8月21日経済産業省)
プロジェクトリーダー・マネージャー
プロジェクトリーダー・マネージャーは職種ではなく職位です。社内におけるキャリアアップの順当な道順であり、転職の際にリーダー・マネージャーの経験が財産になることもあります。
仕事内容
プロジェクトリーダー・マネージャーは、プロジェクトの計画立案から実行、完了に至るまでの全過程を監督し、管理するポジションです。
具体的な職務内容は、チームメンバーのタスク割り当て、進捗管理、問題解決、コミュニケーションの促進など、プロジェクトの目標達成を確実にするための多岐にわたるタスクがあります。
プロジェクトリーダーはより技術的な側面やチーム内の具体的な作業管理に関わることが多く、プロジェクトマネージャーはプロジェクト全体の管理、ステークホルダーとのコミュニケーション、リソースの配分など、より広範な管理業務を担います。
求められるスキル
プロジェクトを円滑に進めるためのマネジメントスキルと、メンバーをフォローできるだけの技術力が必要です。特に案件単位のリスクマネージメントは必須で、スケジュールの遅延が起こらないよう、徹底したフォローと管理体制の構築力が必要となります。
平均年収
経済産業省の調査によれば、プロジェクトマネージャーの年収は891.5万円です。
※参考:IT関連産業の給与等に関する実態調査結果(平成29年8月21日経済産業省)
CTO
CTOはプロジェクトマネージャーの上位職でより経営層に近く、社内ゼネラリストの到達点です。ネットワークエンジニアがいきなりCTOになることはほぼありません。ITコンサルタントやプロジェクトマネージャーの経験を経て、ビジネス・経営課題と向き合い、解決に導いた実績を残す必要があります。
仕事内容
CEO(社長)が目指すビジョンの実現に向け、業務改善・新規事業や技術的視点のすり合わせなどを行います。また、場合によってはソフトウェアの特許といった法務的な業務にも携わります。
求められるスキル
経営方針を理解し実務に落とし込むビジネススキルと現場に執行させるための技術力が必要です。技術面では特に新しい技術へのアンテナと新規・既存事業への応用力が求められます。
平均年収
Indeedのデータによれば、日本国内のCTOの平均給与は約975万です。また、人事院の統計調査によれば、企業規模50人以上100人未満の技術系部長級の平均給与は679万円、企業規模500人以上の大企業は564万円とされています。
※参考:
日本でのCTOの平均給与Indeed
民間給与の実態(令和4年職種別民間給与実態調査の結果)|人事院
ネットワークエンジニアからキャリアアップ・キャリアチェンジする方法
ネットワークエンジニアがこれからのキャリアパスを描くために必要なことや考え方のノウハウを紹介します。
目標とするキャリアを決める
ネットワークエンジニアはそのまま極めていくことも、別のエンジニアとしてキャリアチェンジをしていくこともできます。目標を決める際は、今までの経験を棚卸ししたり、周りのエンジニアに相談するなど情報収集したりしましょう。
そのうえでしっかりと各職種の特徴を把握することが重要です。リアルな話と一般的な話を統合し、自分にあったもの、続けられるものを選びましょう。
実務経験をしっかりと積む
まずはネットワークエンジニアとして実務経験を積んでいきましょう。最初は監視や保守運用といった下流工程がメインとなりますが、上流工程まで担当ができるようになれば、今後のキャリアパスの幅が大きく広がります。
経験を振り返りスキルセットの棚卸を行うことで、やりたいことや適性が見えてきます。このまま専門性を磨きたければ、同業種でキャリアアップをしましょう。新しいことにチャレンジしたければキャリアチェンジがおすすめです。
資格の取得
会社によって担当業務・工程に要件があることがあります。また、資格取得は転職などでも有利に働きます。
上流工程になかなか移れない方は、「CCNA」といった資格をとりましょう。キャリアアップの場合は実務経験が重視されますが、実務を積んでいくうえで一定の技術力が保証されたほうが、仕事を任されやすくなる可能性が高まります。
また、キャリアチェンジを検討しているなら「LPIC level1」の資格取得がおすすめです。サーバーを含めたインフラエンジニアとしての知見を第三者から保証され、自己学習力・体系だった知識を証明できます。
積極的にプロジェクトに参加する
社内でのキャリアアップや転職によるさらに上の仕事へのチャレンジを求めるなら、プロジェクトへの参加は積極的に行いましょう。
ネットワークエンジニアに限らず、リーダー・マネージャー職へのキャリアアップには、マネジメントの適正が必要です。マネジメント経験を積むには、積極的に手を挙げ信頼を勝ち取る必要があります。
また、プロジェクトでかかわった他分野のエンジニアと交流することで様々な専門性に触れることができ、キャリアチェンジのきっかけになることもあるでしょう。
キャリアパスに役立つ資格
ここからは、ネットワークエンジニアから出発するキャリアパスで役に立つ資格を厳選して以下4つを解説していきます。
- ネットワークスペシャリスト
- CCNP
- LPIC
- クラウドサービスの認定資格
以下では概要に触れていきます。それぞれの資格の詳細はこちらの記事も参考にしてみてください。
セキュリティエンジニアにおすすめの資格17選|種類別の資格や難易度まで解説
昨今、企業に対するサイバー攻撃が増加しており、それに伴い情報セキュリティの重要性は高まっています。そのためセキュリティエンジニアの市場価値は高まり、セキュリティ資格への注目も増しています。 しかし、セキュリティ資格は多数・・・
ネットワークスペシャリスト
ネットワークスペシャリストは経済産業省が認定する国家資格の1つで、ITエンジニアの資格のなかでネットワークの専門性に特化した資格です。
ネットワークシステムに関する要件定義・設計・構築・テスト・運用・保守・管理・評価・セキュリティ・コンサルティングなど幅広いフェーズ・領域を網羅的に理解していることが認定されます。ネットワークエンジニアを極めていきたい人はぜひ取得しておきたい資格です。
CCNP
シスコシステムズ社が認定するCisco技術者認定資格のうちの1つです。難易度により全5段階に分かれており、CCNPは3段階目のプロフェッショナルレベルで、実務経験が3~5年程度あれば合格できるラインだとされています。
ネットワークエンジニアとして設計や構築の技術を習得できるほか、分野によってセキュリティ・データセンターなど、今必要なモノ、これから極めたいモノを選択して受験することが可能です。
一定のスキルが認められるだけでなく、さらなる上位資格(エキスパートやアーキテクト)を目指して学習することもできるなど、キャリアパスを描くうえで上流工程への足掛かりとなる可能性があります。
LPIC
LPICはLinux技術者認定試験です。
Linuxは世界中に普及した技術であり、2024年1月時点で世界4位のシェアを誇るOSです。日本向けに最適化されたLinuCという資格もありますが、より大きな企業や広い市場で価値を認められやすいのはLPICと言われています。
LPICは難易度により「LPIC-1」「LPIC-2」「LPIC-3」の3つに分かれており、特に最難関のLPIC-3はさらに専門分野が4つに分かれています。
LinuxOSに関する幅広い技術と、特に「LPIC-2」「LPIC-3」はセキュリティやクラウドといった高い専門性を身に着けることが可能で、この分野のスペシャリストとしてキャリアアップを図るなら目指したい資格です。
クラウドサービスの認定資格
クラウドエンジニアとしてのキャリアアップを目指すならクラウドサービスの認定資格を取得しましょう。主要なクラウドサービスであるAWS、Azure、GoogleCloudそれぞれに認定資格が存在します。
2024年1月に発刊された資料によれば、企業はクラウドプラットフォームを複数導入することにより俊敏性を高めることを狙っている様です。その中でも特にシェアが高いのはAWS(75%)・Azure(75%)・Google Cloud(45%)となっています。
各種クラウドプラットフォームの技術は異なる部分も多くありますが、連携技術も発展しており、複数の認証を持つマルチクラウドエンジニアになることで転職市場でも希少価値の高い存在となれるでしょう。
もちろん、まず1つのサービスを極めるという道もあります。その場合はシェアがより高いAWSかAzureの認証をとることがおすすめです。
※参考:クラウドコンピューティング-市場シェア分析、産業動向と統計、成長予測2024年~2029年| Mordor Intelligence
理想と現実の整理と計画をたてよう
インターネットはもはや生活を支えるインフラとして無くてはならない存在となっており、ネットワークエンジニアは現代で無くてはならない職業の1つとなりました。
しかし、特に近年はセキュリティリスクの増大やマルチプラットフォームを採用する企業の増加があり、ネットワークエンジニアに留まらない活躍ができる人材が求められています。
こうした現実の背景とやりたいこととを棚卸し整理し、理想のキャリアプランを描きましょう。