お役立ちコラム
インフラエンジニアとは?仕事内容や必要なスキルなど解説
昨今、求人サイトや転職エージェントで「インフラエンジニア」の求人を目にする機会が多くあります。インフラエンジニアは専門性が高い職種のため、高い需要に対して担い手が不足しています。
今回は、インフラエンジニアの業務と求められるスキルなどの概要を中心にわかりやすく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
■ 監修者:鐘ヶ江直志
エンジニア歴10年。通信業界を中心にオンプレミス・クラウド領域におけるインフラ・サーバー・セキュリティ設計構築等に従事。
また、ライターとしてエンジニア学習サービスの講座・教材製作や電子書籍出版など様々なプロジェクトに携わる。
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目次
インフラエンジニアとは
インフラエンジニアとは、情報通信技術(ICT)の基盤であるITインフラの設計、構築や維持および管理をする専門家です。その業務内容はハードウェアの選定からシステムのセキュリティ対策まで多岐にわたります。
インフラエンジニアは、ITサービスの基盤を担う仕事であり、今後も活躍が期待される、なくてはならない仕事です。また、高い専門性により長期的なキャリアを築くことができます。
インフラエンジニアの職種
ITインフラは様々な領域に分かれているため、インフラエンジニアも専門性に応じた職種に細分化できます。それぞれ概要を解説していきます。
サーバーエンジニア
Webサーバーやメールサーバーなどコンピューターネットワーク上にあるさまざまなサーバーを設計・構築、および運用・保守まで対応します。
インフラエンジニアはITインフラストラクチャの全体に関わる業務を担当するのに対して、サーバーエンジニアは、サーバーに焦点をあてています。
ネットワークエンジニア
コンピュータや通信機器を繋ぐネットワークを設計・構築し、管理・運用をサポートする専門職です。設計書に基づいて機器を接続し、安全なネットワーク環境を作りながら、運用中のトラブルにも対応します。
ネットワークは人の目に見えるものではありませんが、ユーザーが快適にITサービスを利用するためには必要不可欠なものです。安定したネットワーク環境を確保し、システムの可用性を高めるために努力することが求められます。
セキュリティエンジニア
システムやデータが外部からのウイルスやサイバー攻撃に影響を受けないよう、未然にネットワークやシステムの脆弱性を抑えるなどの対策をしていくのが主な業務です。
デジタル化が進む現代社会において、セキュリティの重要性は日々増しています。企業はセキュリティインシデントやデータ漏洩などのリスクに早急に対処していかなければならず、需要の高まりをみせています。
そのため、セキュリティエンジニアになれれば、高い報酬を期待でき、キャリアの見通しも良いと言えます。
クラウドエンジニア
クラウドエンジニアは、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloudといったクラウドプラットフォームの専門の知識を持ち、クラウド環境における設計・構築、運用、セキュリティ、時にはトラブル対応などインフラ全般を取り扱います。
現在、多くの企業がシステム、サービス運用において、オンプレミスよりクラウドを導入しており、また、AWSやAzureを中心にシェアが伸び続けていることからも将来性のある職種といえます。
インフラエンジニアの平均年収
高い専門性と豊富な知識量が必要なインフラエンジニアですが、一般的な平均年収は以下の通りです。
勤務形態 | 平均年収/時給 | 算出方法 |
---|---|---|
正社員 | 約497万円/年 | ー |
派遣社員/アルバイト | 約429万円/年 | 平均時給を約2,234円とした時の、一ヶ月8時間・20日勤務の条件で算出 |
フリーランス | 約840万円/年 | 平均案件単価を約70万円として算出 |
参考:
インフラエンジニアのフリーランス求人・案件 | フリーランスITエンジニア向け求人・案件サイト【フリーランススタート】
インフラエンジニアの仕事の平均年収は497万円/平均時給は1,299円!給料ナビで詳しく紹介|求人ボックス
インフラエンジニアで正社員として働いた場合の平均年収は約497万円です。日本の平均年収は約414万円といわれているため、比較的高い傾向にあります。求人需要が高い、人材が不足しているなどの側面から年収が平均よりも高めであることが伺えます。
派遣社員・アルバイトの場合の平均年収は約429万円です。アルバイトの平均時給は1,250円のため、平均より2倍近く高い時給額となっています。
最後にフリーランスの場合の平均年収は約840万円です。ただし、フリーランスは案件が安定しない側面があり、また、月100万円を超える案件も存在するため、年収のバラツキは大きいです。
上記データは勤務形態ごとに平均値を算出したものですが、同じ勤務形態のなかでも、以下の要素によって年収には差が出ます。
業務内容(スキル)による年収の違い
同じインフラエンジニアでも実際の業務内容によって給与や案件単価に幅があります。
例えば、新システムやインフラストラクチャーの設計・構築業務は、運用保守よりも年収が高い傾向にあります。
この違いは、設計構築がシステムの安定性やセキュリティを担保する重要な役割で、より高度なスキルが求められるためです。一方、運用保守の下流工程は定期的な作業やルーチンが多く、比較的経験が少ないエンジニアでも対応できる業務であるため年収は低めです。
他にも、ひとつの技術・サービスに特化した専門知識、チームをまとめるコミュニケーションスキルやマネジメントスキルなどの有無で年収に差が出てきます。
責任の差による年収の違い
業務の性質の差は責任の重さにも直結します。そのため、責任によって年収の差が生まれるともいえるでしょう。
例えば、システムの設計構築段階で不具合はその後の工程にまで影響を及ぼす可能性が高く、責任を担うマネジメント層は高い報酬を得ることが一般的です。
そのため、高年収を目指す場合はリーダーやマネジメントポジションを狙うことをおすすめします。
インフラエンジニアの具体的な仕事の流れ
インフラエンジニアは前述した通り設計・構築・運用・保守などの仕事を手掛けています。ここでは仕事内容を上流工程(要件定義・設計・構築)〜下流工程(監視・運用・保守)の順で紹介します。
また、インフラエンジニアの仕事で工程ごとに直面する課題と、それに対する取り組み方を盛り込み、わかりやすく解説していきます。
要件定義
要件定義ではヒアリング、機能要件・非機能要件の整理、スケジュールの策定、予算の見積もり、文書化という作業が行われます。
顧客との密接なコミュニケーションを通じて希望する要件の定義を明確にし、「何がしたいか」「利用頻度」「要求性能」のあるべき姿(全体的な基盤)の共通認識を固めることが目的となります。
プロジェクトをスムーズに進行していくために、要件定義をお客様と細かくすり合わせしておくことで後の工程で認識のすれ違いなどがなくスムーズに進めることができます。
設計
要件定義をもとに、設計工程でどのような構成、設定値にするか決定します。
必要とされる機能や性能が設計書に適切に反映されていない場合、お客様の要望と全く違った納品物が出来上がってしまう原因になります。丁寧にヒアリングを繰り返し、後工程に作業しやすいドキュメントを作成することが大切です。
また、設計で定めた項目に対して、それぞれの項目で定めた内容が正しく実現できているかを評価するための試験項目を作成してきます。
構築
構築の工程では、完成された設計書をもとに、サーバーやネットワーク機器を設定し、実際に構築します。具体的には、設計書に沿って機器の調達を行い、設定を行います。
構築が完了したら、設計書通りに作業が行われているか動作試験を行い、ネットワークが繋がるかどうかなどを確認して構築の工程は完了です。仮にネットワークに繋がらないなどの不具合が発生した場合、設計工程の見直しが必要になります。
運用・保守
基本的にインフラ基盤は24時間365日稼働していくものなので、運用・保守業務のシステムが正常に稼働するように運用することや定常業務やメンテナンスは欠かすことができません。
システムの不具合の対応や設定の変更、バージョンアップ対応など様々な業務を担当するため、スムーズに運用できる体制づくりが大切になります。
監視
システム運用で問題が発生した場合に原因を追求して修正することや、インフラシステムを安定的に運用していくために問題が発生する前の障害・インシデントの予兆を早期発見することが、監視業務の主な内容になります。
システムを監視するためには、さまざまなツールが使用されます。例えば、ネットワークの監視には「パケットキャプチャ」や「トラフィック解析ツール」、サーバーの監視にはメモリ使用量やディスク容量などを監視するツールがあります。システム監視業務は24時間365日の対応が求められるため、ツールを活用して可能な限り自動化、効率化して監視を行います。
インフラエンジニアになるための必要なスキルは?
本段落では、インフラエンジニアになるために必要なスキルと知識を紹介します。今後インフラエンジニアに転職などを考えている人は是非参考にしてみてください。
ITインフラの知識
ITインフラはITサービスを提供するための基盤技術のことで、サーバー、ストレージ、ネットワーク、OSなどが含まれます。インフラエンジニアの業務の根幹となるため、幅広い知識が必須です。
セキュリティの知識
システムは構築して終わりではなく、継続的かつ安全に運用する必要があります。近年では、サイバー攻撃などの脅威が増加しており、こうした脅威からシステムやデータを守るためには、セキュリティに関する知識が必要です。
クラウド環境・オンプレミス環境両方で、適切なセキュリティ対策の実装・管理が求められます。
コミュニケーション能力
インフラエンジニアは、チーム内外のステークホルダーと協力しながら業務を進めていきます。
関連メンバーとの連携はもちろん、顧客のニーズを正確に理解して適切な技術的解決策を提案できることが、プロジェクトの成功に直結します。そのためコミュニケーション能力は業務を円滑に進めていくうえで重要と言えるでしょう。
コンプライアンスに対する知識
企業が法令を順守することは、社会的信頼と法的リスクの低減のために重要です。違反した場合は、企業が経済的なダメージを受けることもあり得るでしょう。
インフラエンジニアは、コンプライアンス要件を満たしたインフラ設計を行う必要があります。そのため、法令に関する知識を持ち細やかな配慮ができるインフラエンジニアは、高く評価されるでしょう。
プログラミングスキル
業務によっては、インフラエンジニアにもプログラミングスキルが求められる場面があります。
例えば、特にクラウド環境においてはインフラ設定をコード化するIaC(Infrastructure as Code)が主流です。コード化することで容易に環境設定を複製できるようになることから、インフラ基盤構築だけでなくその後の管理業務まで効率化できるのが特徴です。
対応できる幅を広げて重宝されるエンジニアになるためにも、プログラムの仕組みや構成を考える力を養う必要があるでしょう。
インフラエンジニアとしてのキャリアの描き方
本段落では、インフラエンジニアのキャリア例を3つ紹介します。
1.インフラエンジニアの経験を武器にキャリアアップを目指す
インフラエンジニアの経験を活かしてスキルを極めていくことで、新たなキャリアへと移行することが可能です。
クラウドアーキテクトを目指す
クラウドアーキテクトは、AWSやAzureなどのクラウドプラットフォームの専門知識を持つエンジニアを管理するエキスパートを指します。昨今、インフラ環境のクラウド化が進んでいるため、今後もクラウドアーキテクトは貴重な存在として重宝されます。クラウドアーキテクトを目指すうえでは、Linux技術認定者の資格を取得していると転職市場ではプラスです。
ネットワークアーキテクトを目指す
ネットワークアーキテクトは大規模なネットワークシステムの設計などを長期的な目線で行うことから、インフラストラクチャーのネットワーク設計、構築を担う職種です。
急速に進んでいるIT技術の進化に伴い、ネットワーク技術が対応できずにいると市場での価値が下がってしまいますので、5GやIOTなどの新たなネットワークのスキル・知識を磨くことは重要です。
ネットワークアーキテクトとしての能力が高く評価される資格には、ネットワークスペシャリスト試験などがあり、即戦力としてスキルを証明するうえで有効です。
セキュリティエンジニアを目指す
セキュリティエンジニアは、企業や組織のITインフラやネットワークにおけるセキュリティ確保を行う職種です。
今や企業や組織では欠かすことのできない、ソフトウェアやアプリケーションですが、一方で外部からの攻撃に対して身を守る、セキュリティは必須のスキルになります。
セキュリティエンジニアを目指すためには、CISSP®などの情報セキュリティ資格を積極的に取得することをおすすめします。
2.プロジェクトマネージャーを目指す
プロジェクトマネージャーは上流工程から下流工程までの完成を導く立場の人を指します。インフラエンジニアとして専門的な知識を保持することが必要なうえに、プロジェクトの計画を策定することやチームの編成することなど、リーダーシップを発揮してメンバーを牽引できる能力が必要になります。企業からの信頼を得て、プロジェクトの全体管理を統括するマネージャーを目指すことができます。
3.フリーランスを目指す
インフラエンジニアとしてのスキルをある程度構築できたら、フリーランスとして活動することも可能です。フリーランスは自分の好きな案件を選べて自由度も高く好きな場所、時間で作業しやすいことがいえますが、反面毎月の収入が安定して入りにくくなります。フリーランスは、理想的な働き方を実現できますが、長い期間活躍していくためには、スキルを徹底して磨いて行く必要があります。
どのようにスキルを磨いていけばいいのか、キャリアを積み上げていけば良いのかといった点が不安な方はエージェントを利用するのも手です。セキュリティ特化の案件紹介サービスであるcyseekでは、キャリアの相談も受付中です。まずはカジュアル面談からお問い合わせください。(カジュアル面談の内容はこちら)
インフラエンジニアに役立つ主な資格は?
最後に、インフラエンジニアのキャリアに役立つ資格を紹介します。詳細は以下の記事でも解説しておりますので、併せてお読みください。
セキュリティエンジニアにおすすめの資格17選|種類別の資格や難易度まで解説
昨今、企業に対するサイバー攻撃が増加しており、それに伴い情報セキュリティの重要性は高まっています。そのためセキュリティエンジニアの市場価値は高まり、セキュリティ資格への注目も増しています。 しかし、セキュリティ資格は多数・・・
SSCP(情報セキュリティ資格)
SSCPとはベンダーフリー・カントリーフリーの情報セキュリティの資格です。ネットワーク運用業務や情報セキュリティ業務の知識を必要とする方だけでなく、組織という観点からも、よりグローバル基準に沿った内容を理解していることを証明する資格です。
Linux技術者認定「LinuC」
LinuCとはクラウドエンジニアに必要なシステム設計・構築から運用管理までエンジニアに求められるスキルを証明できる技術者認定になります。
LinuCは、実際にシステム開発に携わっているハイレベルなITエンジニアにとって必要な知識やスキルを求める内容になっています。
- LinuCレベル1
- コンピューターの基本的なシステムを理解し、仮想環境を含むLinuxシステムの基本操作とシステム管理が行えることを証明する資格です。
- LinuCレベル2
- システム設計、ネットワークの構築でアーキテクチャに基づいた設計、保守を行えることを証明する資格です。
- LinuCレベル3
- Linuxを用いてシステム構築やライフサイクル全体をコンサルティングできるような最高レベルの技術を持っていることを証明する資格です。
応用情報技術者試験(AP)
応用情報技術者試験は、ITを活用したシステム、ソフトウェアなどを開発する人材に、必要な知識・技術を求める資格です。この資格をとることのメリットとして、情報処理のみならずビジネスパーソンとしても、正しい知識を得ることができるため、IT技術者としての応用力が身に付きます。
参考:応用情報技術者試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
データベーススペシャリスト試験
データスペシャリスト試験はデータベースに固有する技術の専門家として、情報システムの要件定義、開発・設計・運用へ技術支援を行うことを証明する資格です。この資格を取ることで、データベース分野でのスキルアップができ、インフラエンジニアにおいての将来的な選択の幅が広がっていきます。
参考:データベーススペシャリスト試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
ネットワークスペシャリスト試験
ネットワークスペシャリスト試験はネットワークに固有する技術の専門家として情報セキュリティや情報システムの要件定義、開発・設計・運用への技術支援を行う知識があることを証明する資格です。
この資格を取得することで、ネットワークに関する設計・構築・運用においてのスキルアップはもちろんのこと、プロジェクトのリーダーとしてマネジメントできる能力があると期待されるようになっていきます。
参考:ネットワークスペシャリスト試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
まとめ
本記事ではインフラエンジニアの仕事内容や、どんなスキルが必要なのか、またインフラエンジニアの将来性について解説しました。インフラエンジニアはIT技術が進化している中、今後も社会にとって必要不可欠な存在です。
インフラエンジニアは必要なスキル取得に励むことで、日本の平均年収より高い給与が期待されますので、目指していきたい人はぜひ参考にしてください。