お役立ちコラム

CEH(認定ホワイトハッカー)とは何か?ProとEliteの違いを解説

CEH(認定ホワイトハッカー)は、セキュリティの専門家が攻撃者の視点を持ち、システムの脆弱性を検証し、適切な防御策を講じるためのスキルを有していることを証明する国際資格です。

ホワイトハッカーとは、悪意のないハッカーを指し、ペネトレーションテストによって脆弱性を事前に発見して対策を施すこと、インシデント対応、フォレンジック調査など専門とします。
クラウドやIoTなど新しい技術が急速に普及する中、組織や企業が所有する情報システムは以前にも増して攻撃の脅威にさらされており、攻撃手法を理解することは、サイバー攻撃に対処するうえで極めて重要です。

CEHの学習範囲には攻撃手法だけでなく、防御側であるセキュリティエンジニアとの連携をスムーズにするための基礎知識も含まれます。
実際、企業や官公庁におけるシステム障害や不正アクセスへの対処が喫緊の課題として挙げられているため、CEHの取得によって自分のスキルを客観的に証明できる点は大きなメリットです。CEH試験は国際的に通用するため、グローバルな現場で働く機会を増やす可能性もあります。

近年は資格を持つ人材がまだ十分に確保されていない組織も多く、キャリア形成においては大きなアドバンテージとなります。( 参照*1 )

CEH ProとCEH Eliteの違い―試験内容とプロセス整理

CEHはEC-Councilが運営する資格で、筆記試験と実技を組み合わせた複数のステップで構成されています。
CEH Proは日本語対応の4時間・125問の筆記試験で、合格基準は約70%以上です。

一方、CEH Elite(またはCEH Practical)は実技を含む試験形態で、英語表記が中心となるため英語力も重要な要素となります。CEH Practicalは6時間の試験で、20問ほどの実践的課題が提示され、攻撃者の視点を用いて脆弱性を解析する能力が問われます。

CEH ProとCEH Eliteの認定レベルとキャリアへの影響

CEH Proに合格するとCEHの称号が得られますが、CEH Eliteを取得するとMasterの肩書が付与され、より高い専門技術を有しているとみなされます。

特に海外の大手企業や官公庁では、CEH資格の保有レベルを重視する傾向があり、防御システム構築から深いレベルの脆弱性検証や実務の改善に従事できる可能性が広がります。CEH Eliteを目指す場合、筆記試験後の実技対応としてiLabsという演習環境でハンズオン学習を行うのが一般的です。
ここではネットワーク、Webアプリケーション、無線LAN、クラウド、暗号化技術など多様な領域を扱い、精密な攻撃手法と防御対策を総合的に練習できます。

受験費用と助成金制度の活用

受験費用は高額で、講習料や公式トレーニング費用を含めると60万円以上かかる場合があります。企業に所属している場合は、厚生労働省の人材開発支援助成金制度が適用される可能性もあるため、最新情報を確認して費用面の問題をクリアすることがポイントです。

学習範囲と合格難易度

CEH ProとCEH Eliteはいずれも学習範囲が広く、ネットワーク基礎やOS、Linuxコマンド、暗号化、法的規制などを幅広く学ぶ必要があります。基礎知識不足のまま試験に臨むと、問題文の単語すら理解が困難になるケースもあるため、事前にしっかりと学習時間を確保しましょう。初学者なら300時間から500時間程度、ある程度のITリテラシーを持つ人でも200時間ほどは見込んでおくと安心です。

CEH認定ホワイトハッカーへの学習ロードマップと対策

「基礎知識の習得と学習ステップ」

CEH(認定ホワイトハッカー)を取得するには、基礎から実務レベルまでを段階的に学ぶ学習ロードマップが重要です。

  1. 情報セキュリティの基本用語とネットワーク構造
    TCP/IPやOSI参照モデル、Webアプリケーションの仕組みなどを理解しておくと、脆弱性評価や攻撃手法の基礎が見えてきます。
  2. LinuxコマンドやPowerShellなど
    さまざまなOS環境での操作手順を習得しておくことも大切です。攻撃者の多くはスクリプト言語やC言語などを駆使してシステムを解析するため、Pythonやシェルスクリプトへの理解も役立ちます。
  3. 不正アクセス禁止法や著作権法といった法的知識
    現場での倫理観を保持しながら業務を進められるようになります。( 参照*3

公式トレーニングと独学の活用法

本格的な対策として、公式トレーニングや問題集を活用しましょう。公式トレーニングを受講すると、模擬試験や演習環境がセットになっているケースが多く、これらを活用することで体系的に知識を積み上げることができます。
ただし、公式トレーニングは高額になりやすいのが難点です。独学を選ぶ場合には、EC-Council公式の英文教材や海外の問題集を入手して反復演習を行う方法もあります。

海外の実践的な著者の教材では、誤りや古いバージョンに対応していない箇所が含まれることもあるため、複数の教材を組み合わせて理解を深める慎重さが必要です。特に英語での学習に抵抗がある方は、日本語の参考資料を併用しながら英語用語を少しずつ習得していくと効率的です。

効果的な学習ステップと実践方法

CEHの合格体験記では、基礎理解から実践演習、復習までを段階的に進める学習法が効果的であると紹介されています。特に、攻撃者視点の理解と問題演習の反復が重要とされています。(参照*4参照*5

1. 基礎知識を固める

まずはセキュリティの基礎理解を深めることが重要です。ネットワークやOS、暗号化、攻撃手法などの基本を学び、CompTIA Security+レベルの知識を持っておくと理解がスムーズです。特に英語表記の専門用語に慣れることで、試験問題の読解力も高まります。

2. トレーニングや実習での学び

CEHの公式トレーニングでは、座学と実習を組み合わせて攻撃と防御の両側面を理解します。合格体験記では、月1回の講義と演習環境を活用して、各回の間に自宅で検証環境を使った練習を繰り返す学習法が効果的だったと述べられています。実際に攻撃手法を体験的に学ぶことで、知識が定着しやすくなります。

3.問題集の繰り返し演習

合格者は「問題集をひたすら解く」方法を実践しています。特に英語版の模擬問題を使い、1日10問ずつ解き、間違えた箇所を重点的に復習する勉強法が効果的だったとされています。問題の背景や攻撃意図を調べることで、知識が断片的にならず体系的に理解できます。

4. 勉強会や他者との議論

勉強会への参加も推奨されています。受験者同士で問題文の意図や選択肢の理由を議論することで、曖昧な部分を明確化でき、より深い理解につながります。特に「攻撃AとBの違い」など、実際のシナリオに基づく議論は理解を加速させるとされています。

5.試験直前の対策

試験は125問・4時間の選択式で行われるため、模擬試験を繰り返し解くことで出題形式に慣れることが重要です。合格者の多くは、本番前に複数回模試を受け、時間配分と出題傾向を把握して臨んでいます。また、最新バージョン(v12)では範囲が広がっているため、最新情報の確認も忘れないようにしましょう。

このように、基礎知識の理解・問題演習・勉強会での議論・模試による慣れを段階的に行うことで、CEH合格に必要なスキルと実践力を確実に身につけることができます。

実践スキルと業務活用―攻撃者視点のメリット

「攻撃者視点の実務的メリット」

認定ホワイトハッカーとして活動する場合、単に試験に合格するだけでなく、実務の現場でいかに活かすかが重要です。攻撃者視点を持つメリットは、システムのどこに最も危険が潜んでいるかを的確に判断し、早期に対策を講じられる点にあります。
特にWebアプリケーションの脆弱性テストでは、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングなど、攻撃者がよく使う手法を体験的に理解しておくことが大きなアドバンテージとなります。

さらにクラウドサービスを利用したアプリケーションや無線ネットワークを対象にしたセキュリティ検証についても、一度攻撃の流れをシミュレーションしておくと、潜在的なリスクを具体的に洗い出すことができます。( 参照*6 )

「セキュリティ体制構築とキャリア展開」

フォレンジック調査やレポーティングのスキルも持ち合わせていれば、インシデント情報やログ分析結果を組織の幹部に提示し、再発防止策を提案できる人材として評価されます。
組織によっては、セキュリティコンサルティングやマネジメント領域へキャリアを広げる足掛かりとする方もいます。市場の需要が拡大している今、CEH認定ホワイトハッカーの存在感は高まっており、エンジニアとしての収入向上や役職アップにつながる可能性も指摘されています。

まとめ―CEH(認定ホワイトハッカー)の価値と今後

CEH(認定ホワイトハッカー)とは何かを改めて振り返ると、攻撃者の視点で脆弱性を検証する能力と、高度な倫理観を兼ね備えたセキュリティ専門家であることを示す資格です。
ProとEliteの違いは、主に筆記試験中心のCEH Proと、実技試験を含めたCEH Elite(またはCEH Practical)という取得プロセスに現れます。

どちらを選ぶにしても基礎からの学習は不可欠であり、特にネットワークやクラウド、各種OSのコマンド操作、さらには法律の基礎まで幅広く押さえる必要があります。独学や公式トレーニングを組み合わせ、自分のスタイルに合わせたロードマップを構築することがポイントです。( 参照*7 )

CEHはグローバルにも評価される資格であり、官公庁や民間セキュリティ企業において信頼度の高い指標として注目を集めています。資格取得にかかる費用は高額になりがちですが、長期的にはキャリアアップや収入増に結びつく可能性があるため、自己投資として検討する価値は大いにあります。
認定ホワイトハッカーとしての道のりは容易ではありませんが、攻撃と防御の両面でスキルを発揮し、社会に貢献できるやりがいの大きい分野です。セキュリティ人材の不足が叫ばれる今、日本国内外の企業でも、CEH資格に裏打ちされた技術力と信頼性を期待する傾向は今後さらに増すと考えられます。

お知らせ

CEH、認定ホワイトハッカーの知見はインフラエンジニアの仕事内容把握やスキル棚卸しに役立ち、案件選びやフリーランス案件の検討に有益です。業務範囲や必須スキル確認、最新の案件情報も併せて参照すると実務適合性が高まります。

インフラエンジニア仕事内容を把握することは、案件選びやスキル棚卸しに不可欠です。業務範囲や必須スキルを確認し、フリーランス向けの最新案件情報も参考にしましょう。
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参照

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